住まいを見つけるだけなのに"初期費用かかりすぎ問題"を解決したい
こんにちは!
はじめましての方もそうじゃない方もこんにちは!
今回私は意を決してこの記事を書くわけですが・・・。
もしかしたら色んな批判やバッシングがあるかもしれないし、色んな人を敵に回すんじゃないかなあと内心ビクビクしています。それでもたくさんの人に知ってほしいと思うことなので書いていきます。伝えたいことは言葉にしないと伝わりませんよね。
まず始めに、自己紹介がてら私のことをお話しします。この記事を書くきっかけはもちろん職場が関係しています。縁あって不動産業界で5年くらいわちゃわちゃもちゃもちゃと働いています。そんな不動産業界は実に奥が深くて、良くも悪くも前時代的な文化が多く残る業種です。申込書なんかも含めて連絡手段はいまだにFAXが主流です。旧石器時代かよ。
そんな私が物申したいことはひとつ!(今回は賃貸に特化した話です。)
お部屋借りるだけなのに無駄な出費多すぎ問題!!!!
ここに意を唱えていきたいと思います。
引越しシーズン真っただ中に書いて申し訳ないですが、これからお引越しする人にはぜひ最後まで読んでほしい。
そもそも、ネットが普及しきっていない10年前、20年前は「お部屋探しはまず店舗に来店する」という流れが主流でした。それが今はお部屋探しはスマホで簡単にできる時代です。お部屋探しのポイントはググればいくらでも出てくるし、町の雰囲気はGoogleマップで見れちゃうし、大島てるみたいに事故物件を集めたサイトもあるし。(このあたりの話はまた後日書こうと思います)
でもネットで教えてくれない初期費用なんかの仕組みがたくさんあるんです。仲介業者に言われるがままに支払ってきた初期費用・・・、なんで家賃の4倍も5倍もかかるんでしょうか?ここから本題です。
※注:筆者は都内や関東近郊でしか働いたことがないので東日本のお話だと思ってください。勉強不足で恐縮ですが、西日本とはちょっと仕組みが違うかもしれません。
1.礼金とADの仕組み
★簡単用語説明
・AD:通称広告料や業務委託料と呼ばれ、大家さんもしくは管理会社から仲介業者へ支払われる報酬。仲介業者で働く営業マンのほとんどが、仲介手数料+ADが自身の売り上げとなり、歩合やボーナスに直結していきます。(会社によって計上の仕方や比率はまちまち)
まず、一般的なお金の流れはこのような仕組みになっています。
簡易的すぎる図で恐縮です。基本的な順序を説明していきます。
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①入居者:SUUMOやホームズなどのアプリやサイトを利用して、お気に入りの物件を見つけ、掲載元の仲介店舗へ問い合わせて来店・申込みをします。
②仲介業者:レインズや不動産会社向けのアットホームなどを介して管理会社などが発行している物件図面を取得し、SUUMOやホームズなどの媒体に物件を掲載します。昨今減り続ける来店客を少しでも増やすために人気エリアや新築物件の掲載には力を入れます。そのため同じ物件を複数の業者が掲載しており、「問い合わせよう!」と思った矢先に問い合わせ先の仲介店舗がいくつもありどこに連絡するか迷った、なんて経験をしたことがある人も大勢いるでしょう。
③管理会社:多くの管理会社は、家主から物件の募集を任されています。自社物件で建てた物件を管理している場合もあれば、会社で物件を購入して管理している場合もあるので管理形態は様々です。一軒でも多くの仲介業者に物件を広告掲載してほしいので、ほとんどの管理会社は用意した物件図面をレインズと呼ばれる不動産専用サイトに掲載します。見事仲介業者から「この物件で申し込みをしたいというお客様がいる」と連絡を受ければ保証会社の審査や、家主の審査等を行い、入居に向けてお部屋の準備を進めます。
④家主:お部屋の持ち主。法人が家主の場合もあれば、個人の家主がもともと自身が住んでいた物件を賃貸にしたり、投資用にマンションを購入していることも。管理会社には募集業務や入居者対応を委託しています。
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これらを理解していただいた上で、2に参りましょう。
2.実際に物件を決めるときの注意点
通常、ADは礼金から賄われているケースが非常に多く、礼金が無い物件を選ぶには引越しを閑散期に行うのがベターです。少なくとも、やむを得ない理由がないのであれば1~3月は外しておくのがマストでしょう。そして重要なのがここから。たとえばAの物件を問い合わせて来店したはずなのに、店舗の担当者が「絶対にBの方がいいですよ!」といってくるような経験をしたことってありませんか?もちろん理屈が通っており、実際にAよりもBが優れた物件である、という可能性もあります。それでもやはり仲介業者から見てADのついている物件、ついていない物件でオススメ具合を変えてくる場合があるんです。あえてAの物件を悪く言うなんてこともあります。※もちろんそんなことをせず、入居者の住みたい物件を優先してくれる業者も多数あると思います。ただし最初に問い合わせてきた物件にすでにADがついてて「ラッキー」と思っている場合もあるでしょう。
また、ADは基本的に管理会社が発行している図面に記載があります。仲介業者によっては印刷する前にわざと編集してADの記載をお客様に見せないようにするので、探してみたら面白いかもしれません。ADの記載があるのにそのまま出してきた場合はチャンスです。図面の下部、中央か右下に記載されていることが多いです。
ADの表記は様々なので、下記を参考にしてください。
パターン① AD100=家賃1か月分=礼金1か月分の減額交渉がし易い
パターン② AD50=家賃半月分=礼金半月分の減額交渉がし易い
AD100を「AD1」「広告料1か月分」と書いたり、AD50を「AD0.5」なんて書き方をする場合もあります。
仲介業者も人ですから、歩合を取りに来るというのは管理会社側も承知の上で敢えてこういう仕組みにしているんですね。入居する方からしたらたまったもんじゃありません。
なので礼金がついている物件なら、まずは礼金の減額交渉をしてみましょう。この時点で「ADの記載があるので礼金なくしてくだい」と正直に言うのはNGです。賢いお客様は仲介担当の機嫌を損ねてしまいますからね。「礼金がなあ・・・」というざっくりとしたセリフで担当者の反応を伺い、なるべく自身の減額に繋がるよう交渉しましょう。
こんな関係性があることにも要注意。
編集が雑すぎて管理会社からのセリフが「入居者」になっていますが、「入居者きまりました!」の間違いです。多めに見てください。
「礼金払うのは当たり前」と思っていたら、家主ではなく仲介業者のいけ好かないおっさんの懐に入ってるだけなんて悔しくありませんか?仲介手数料も払っているのに。このやりとりを家主は全く知らない場合もあります。
また、さらに悪質な仲介担当者だと「お客様から礼金を2ヶ月分支払ってもらうので、すべてADに変えてください」と管理会社に申し出てくる場合があります。担当者は悪意を全く感じていませんが、私利私欲にまみれているので一般市民にとっては本当に注意したい相手です。また、その際に怪しまれたくない担当者は言葉巧みに礼金を上乗せしてきます。
「この時期だから」
「実はあなたのほかに2番手の人がいるらしく、管理会社に値上げされた」
「これは1週間前の図面で、管理会社に問い合わせたら値上がりしたと言っていた」
たとえ法人契約で会社が初期費用をだしてくれるからといって、個人契約の場合にそのような上乗せ行為をしてくる業者も後を絶ちません。※実際に法人契約で他の条件を緩和しなければならないときには礼金を上乗せする場合がありますが、それは家主側のデメリットを相殺するためだったりするので個人で契約するときにはあまり関係がない話なので覚えておかなくても大丈夫です。
管理会社側にはなんのメリットもデメリットもありませんので、「空室が埋まるならどうぞご自由に」と、仲介業者の言うままに礼金の上乗せを黙認するケースがほとんどです。レインズに載せている図面には礼金1と記載しているのに、契約書は礼金2に変えてしまうんです。そうして入居者から支払われた礼金の上乗せ分を仲介に振り込みます。真実は闇の中ってやつですね。どちらも非常に許し難いです。
3.契約するときに仲介業者を通したくない!
ここまで読んでいただき、この考えを持った方がいたら嬉しいです。そんなときに大事なのは、気に入った物件の「管理元(管理会社)を探すこと」。物件名で調べるもよし、なんなら仲介業者に電話で聞いてみてもいいでしょう。分譲マンションなんかは売却して管理会社や家主が変わっていくケースがあるので、「物件名で探す」というのはあくまでも一例です。また、ストレートに聞くと賢いお客様だと思われ警戒されてしますので「前の管理会社が杜撰だったから」なんて理由をつけてもいいでしょう。実際、管理会社が杜撰だと隣人トラブルが全く改善されなかったり、騒音やゴミ問題が解決されないなんてことも多々あるので大事な部分です。
管理会社がわかったら、直接電話をかけましょう。HPに問い合わせフォームをつけている会社も多いのでHPを覗いてからでもいいですね。大手であるほど直接対応してくれる会社が多いです。
どうしても家主の希望で礼金を外せなかったりする場合はありますが、仲介手数料を半額(もしかしたら無料もあるかも)にしてくれたり、もともとADを払う予定だった物件なんかは礼金を減額してくれることもあるでしょう。なんせ仲介業者にわざわざ支払う手間がなくなりますからね。
細かい会社の仕組みとして人員が足りておらず、仲介そのものをできない会社もあるかと思いますが、何はともあれまずは問い合わせてみるのが1番かと思います。直接管理会社の雰囲気もわかるので一石二鳥です。
ちなみに私が大好きなのはダイワハウスです。web申込み等も取り入れており、自社で仲介部門を抱えているので申込みや審査の流れが非常にスムージー。決してダイワさんの回し者だったり元社員ではありませんよ。個人的な嗜好の話です。大東建託なんかも結構すきです。
ちなみに先ほども少し書きましたが、直接問い合わせたからと言って「仲介手数料がタダになる」わけではありません。いつか礼金というものが世の中から消えたとしても、一応会社を経営していくうえで仲介手数料的なものは今後も残っていくのではないでしょうか。
4.敷金とクリーニング費用について
1)敷金
皆さんご存知の「敷金」。返ってくるものだと思っていませんか?もちろん、お部屋を綺麗につかっていたら全額返ってくることもあるかもしれません。ですが全額返金になるケースは少なく、敷金とは別途で足りない分の清掃費を請求される場合もあるんです。
また、敷金(償却)と書かれていたら要注意です。この場合、例え敷金といえども「償却」されてしまうので1円も返金されることはありません。敷金の代わりに退去時に決まったクリーニング費用(1Kで4~7万円程度)を支払う、という物件もあるので是非探してみてください。まあ規定のクリーニング費用で補えない場合には結局別途で請求がくるんですけどね。なるべくお部屋は綺麗に保つよう心がけましょう。
2)入居時と退去時に注意したいこと
敷金を支払っているなら少しでも多く返金されるように、また、敷金を払っていないならクリーニング費用を少しでも抑えるように、国交省の定めているガイドラインを必ず頭に入れておいてほしいです。PDFをダウンロードすると173ページくらいあるんですけど、有名なものだと「入居後6年でクロスの価値は1円になる」とか「ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものであり、そのために使用した画鋲、ピン等の穴は、通常の損耗と考えられる。(つまり支払いの対象になりにくい)」などが挙げられます。
そしてここからがポイント!立ち合いの際に来る業者に要注意です。自社で修繕やクリーニングの部署を抱えている管理会社ならまだいいのですが、アウトソーシングにしている場合、下請業者の利益のためだけに原状回復費用が高く見積もられることもしばしば。これも業者によるんですけど、入居者から取れた費用の分だけ歩合になることもあるんだとか。直さなくていい箇所まで見積もりに入っていたりするので注意してください。
入居時に写真や動画で残しておくとか、女性ならだれか男性に付き添ってもらうとか、一度見積もりを持ち帰って検討させてもらうのもひとつの手段かと思います。
仲介業者には礼金上乗せされるし工事業者には修繕費用高く見積もりされるし、本当にやってられないですね。※あくまでも一例でありすべての業者に当てはまるわけではありません。
3)その他の初期費用
値引きできるものとできないものを知っておきましょう。
(1)値引きしやすいもの
アパマンの事件で明るみに出た消臭代。単価1,000円前後の消臭スプレーを勝手に仲介業者が付帯サービスとして初期費用に加えているものです。管理会社がクリーニングをする際に必要に応じて消臭等を行っているので、管理会社が清掃のために本当に必要としている場合以外で支払う必要はありません。
引越し業者やネット会社の斡旋、消臭代を請求することで仲介担当者の歩合になることがあるので、請求書に不穏な項目を見つけたら管理会社に直接聞いておいても損はありません。
② 鍵交換費用
その名の通り、入居前に鍵を交換するための費用です。管理会社側はあとからもめたくないので必須の場合もありますが、どうしても「前の入居者と同じ鍵がいい!」とか「前の入居者が同じ鍵を複製していたとしてもいいからお金をかけたくない」という覚悟をお持ちの方は交渉してみるのもありでしょう。
③ 24時間の駆け付けサービス
正直、こんなの必要ねーよ!って人も多いのではないでしょうか。でも実際マイホームじゃない限り、ある程度の欠陥や設備の故障は覚悟しておいた方がいいのも事実。夏場にエアコンが故障したけど管理会社が長期休暇に入っていて治してもらえない!なんてこともあるので、あとから絶対文句言わないよって覚悟をお持ちの方はこちらも交渉してみるのはありだと思います。オートロックの場合は「鍵なくしちゃって部屋に入れない」とか「鍵を持たずにごみ捨てに行って閉め出された」なんてこともありますから、サービスを外す方は注意してくださいね。
④ 契約事務手数料
こちらも仲介業者が上乗せしている場合があります。仲介手数料払っとるやんけ!!と声を大にして言いたいところです。正規の手数料として管理会社側が請求してくる場合もありますが、一度管理会社に直接聞いてみることをおすすめします。
(2)値引きできないもの
① 保証会社加入費用
連帯保証人制度が少なくなってきており、保証会社に加入することを義務付けている管理会社も少なくありません。これは家主側のリスクを減らすために必要なことで、外したいからといって外せるものではありません。また、保証会社の審査によって「この人入居させて大丈夫だよ」と証明してもらえるので入居者側にもメリットとなります。保証会社によっては外国籍向けだったり、夜のお仕事をされている方に特化していることも。また、保証会社に加入するなら敷金を払わなくていいという管理会社もあります。このふたつの仕組みについてはググってください。敷金はクリーニング費用に充てられるだけの費用ではないということです。
② 家財保険料
こちらも簡単に外すことができません。自身の部屋の家財を守るためでもありますが、自身の住む部屋で漏水が起きてしまい下の階の部屋の人の家財がダメになってしまった、なんて場合にも対応してもらえる保険です。保険会社で働く人や家族が代理店をしている場合には、管理会社が規定としている保証内容を満たしていれば自身で選んだ保険に加入することも可能です。チューリッヒさんのサイトがわかりやすかったのでよかったら参考にしてください。→参考サイト
③ 謎の付帯サービス
たまーにあるのがこちら。アパートなんかに多く見られます。実態としては、物件で使用できる無料のインターネット環境を使用する場合なんかに必要とされます。謎だな、と思ったら内訳としてどんなサービスが含まれているのか管理会社に問い合わせてみましょう。謎だけど意外と内訳はしっかりしていたりします。謎に入居者同士の交流パーティーみたいなものを開催している管理会社なんかも存在します。謎です。
5.最後に
さて、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。深まる疑問もあるかもしれません。私の書くことだけがすべてでもありません。それでも、少しでも今後の皆様のお役に立てればなによりです。
ここから先は私個人の戯言です。
上記で度々出てきたレインズというサイト。不動産界隈で働く人にとっては当たり前のようなサイトですが、それ以外の人への認知度が格段に低い。初めて聞く人も多かったのではないでしょうか。そもそも全員がこのサイトを見れたら苦労しませんよね。これが今の日本の悪いところです。海外ではこのようなサイトが一般に流通しているようなので、もっともっと日本も変わっていってほしい。なんならこれに代わるポータルサイトを私が作りたい。SUUMOやホームズみたいに仲介業者に繋がるサイトじゃなくて、管理会社と直接繋がる媒体を作りたい。
入居者は仲介手数料を最大限に抑えて、ADに代わってしまうような礼金を払わないでほしい。管理会社はADに代わる礼金を受け取るのではなく、入居者から仲介手数料を受け取ればいい。会社の営利のためだけに礼金を発生させるくらいなら、仲介手数料を満額入居者から受け取るのが管理会社であるべきだと思うんです。
実際に礼金を2か月分とれるくらい人気な物件なら毎月の賃料を2,000~3,000円上げることも可能になってくるので、それを決めるのはせめて家主であってほしい。
申込業務が大変ならもっとweb申込みが主流になるべきだし、今後無くなっていく職種ナンバー1は不動産の仲介店舗なんじゃないかと私は思います。他意や悪意はなく、単純に仕組みとして近い未来に無くても困らない部分になっていくのではないかなと。
そんなこんなで今書いたような媒体の実現を考えています。
共感してくれる企業さんとかいたらうれしいなあ。(遠い目)
たとえ私じゃなくても、いつか誰かが実現していくであろう未来の形はここにあると思いたい。
長くなりましたが、本当にここまで読んでいただきありがとうございました!
みなさんの毎日がより素敵なものになりますように!
ノシ